Your Song
僕には夢がある。
彼女は17歳。
親からの影響で、聴く音楽はもっぱら洋楽のロック。ロックン・ロールといつやつだ。
そんな彼女の悩みは、欲しいとも思っていないがなかなかできない彼氏のことでもなく、流行り廃りの激しいついていけない友達のことでもなく、大人になれない小さな大人に課せられる進路の話でもない。
"愛用していたイヤホンが壊れた"
いつもポケットの中で絡まっていて、それを解くのがたまらなく愛おしかった、アレ。
彼女にとっては生命線、ともいえる大切な線なのだ。
友達が持っているのは線のないやつ。絡まらないやつ。
すぐに片方無くなって、片想いだねってそんな冗談は言いたくない。
私は線のあるやつがいいのだ。
家電量販店にて。彼女はなんの迷いもなく、愛用していたものと同じイヤホンを手に取る。
そんな新しいイヤホン。前と同じかたち、同じ線、でも前と違う新しい音に聞こえた。
「たまには新しいバンドの曲でも掘ってみようかな」
彼女はイギリスやアメリカ、往年の、今でもなお名を轟かせ続ける偉大なロックンロール。
そんな音楽が好きだ。そんな自分に酔っているわけではなく、純粋に。
そんな彼女の新しいイヤホンに、新しい曲が流れる。
「日本語なのに何か好きかも」
カッコいい。。
そんなバンドでありたいものだ。
ひとつの夢の話。